前回は論理的思考力を身につけるために必要な練習のうち「抽象・具体の関係」について述べたが、今回は「対比関係」と「因果関係」について述べる。
対比というのは二つのものを並べて、それぞれの違いを比べることである。
簡単な例
(夏は暑い)。(それに対して)(冬は寒い)。
最初は短い文章から練習していく。( )の部分のどこかを空白にして、言葉を入れさせる問題から練習していけばよい。例のような練習問題ならすぐにいくつか思いつくだろう。
また、「夏と冬の違い」などいろいろな例で違いを考えさせて、対比になっていることを確認させる学習も対比の概念を教えるうえで効果的である。
筆者は読者に分かりやすく説明するために別なものと比較する。細かい部分で対比になっていたり、大きなテーマで対比になっていたりする。
入試問題では、文章自体は対比でのものでも、「対比関係」の問いは「抽象・具体の関係」の問いにくらべてそれほど多くない。
さて、最後に「因果関係」である。これが一番わかり易い。
簡単な例
今日、(学校を休んだ)。(なぜなら)(風邪をひいたからだ)。
今日、(風邪をひいた)。(だから)(学校を休んだ)。
これも短い文章から練習していく。( )の部分のどこかを空白にして、言葉を入れさせる問題から練習していけばよい。「対比関係」と同じように、例のような練習問題ならすぐにいくつか思いつくだろう。
文章中では「なぜなら~から」「だから~」という言葉がいつも使われるとは限らない。
入試問題で出題されるのは「なぜなら~から」「だから~」が使われていない文章や、「因果関係」が離れたところにある文章が多い。
「抽象・具体の関係」と比べて「因果関係」はわかりやすいと思う。日常生活の会話でもよく使っているはず。実は「抽象・具体の関係」も日常生活でよく使っているんだけどね。
ここまで3回にわたって述べてきたように、国語の苦手な子には長文読解ではなく短い文章で「抽象・具体の関係」・「対比関係」・「因果関係」の練習をさせることが必要である。これは「国語力=論理的思考力」を身につけるために必要な三つの力なので、国語が苦手な子だけでなく全員に学習させるべきである。
ただし、ここで示している練習はそれぞれの学習の初めの部分だけである。当然これだけの内容で終わるわけではない。
ところで、ここまで読んで疑問に感じられることも色々あるかと思う。たとえば、本当にこの三つだけでいいのか。どの問題集にもある「指示語」・「接続語」・「内容理解」・「要旨」などの問題はやらなくていいのか。結局入試問題は長文読解なので、長文読解はやらなくてはいけないのではないか。どんな問題集をやればいいのかなど。