成道館日誌

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月次 アーカイブ 2014 / 1月

OECD国際学習到達度調査

OECDが65カ国・地域の15歳の男女約51万人を対象とし、2012年に実施した国際学習到達度調査(PISA)の結果によると、日本は「読解力」が8位から4位に、「科学的応用力」が5位から4位に、「数学的応用力」が9位から7位に上昇した。文部科学省が掲げた「脱ゆとり」路線の成果と言えるだろう。

各分野の上位3カ国・地域をみると「読解力」は1位上海、2位香港、3位シンガポール、「科学的応用力」も1位上海、2位香港、3位シンガポール、「数学的応用力」は1位上海、2位シンガポール、3位香港である。結局上位3カ国・地域は上海、香港、シンガポールの国・地域が占めているのである。

ご存知のように上海と香港は中国の都市であり、また中国の中では生活水準の非常に高い都市である。シンガポールも面積は東京23区程度で人口は約540万人であり、非常に小さい国なのである(都市のようなもの)。都市と国を同じ土俵で競わせ順位をつけるのは不公平ではないか。

「読解力」と「科学的応用力」は日本は4位だが、OECD加盟国では1位、「数学的応用力」は7位だが、OECD加盟国では2位。これを見ても分かる通り、国でみれば日本は1位、2位といってもいいくらいである。人口1億を超え、国として参加してこれだけ高い順位であるのだから立派なものである。

G7の中でもダントツで順位が高い。たとえば、アメリカは(読解力・科学的応用力・数学的応用力の順に)24位、28位、36位。イギリスは23位、21位、26位。ドイツは20位、12位、16位。

学力低下ばかり言うが、世界的にみれば日本の義務教育は高い水準であることをみるべき。

今回のPISAは、脱ゆとり路線を掲げて平成20年に改訂された新学習指導要領で学んだ生徒が初めて受けたテストで、この結果から、ゆとり教育を転換した学力向上策は功を奏したといえる。

おもしろいのは、上海が2回連続で1位になったのにだれも「上海に学べ」と言わないこと。だれか言ってくれ~~~。

ところで、今まで上位で注目を集めており、かつて教育先進国と言われた北欧諸国はどうであろうか。

フィンランドは「読解力」が3位から6位、「科学的応用力」が2位から5位、「数学的応用力」は6位から12位と急落。スウェーデンは前回「科学的応用力」が平均を下回り、今回はさらに10点もダウンした。

「フィンランドを見習え」と言っていた人は今どう思っているのだろう。