抽象・具体

国語力とは論理的思考力である。この論理的思考力を身につけるために必要な力は三つにしぼることができる。すでに著名な先生も言われているのでご存じの方もいらっしゃるだろうが、それは「抽象・具体の関係」「対比関係」「因果関係」である。文章もほぼこの三つの関係で成り立っている。したがって三つの関係を読み取る力を身につければ国語力=論理的思考力が身につく。

世の中に多くの国語の問題集があるが、この三つの力を練習することを中心に編集してあるのは残念ながら少数。多くの本は分野を分けていたとしても総合問題をやっているのに等しいものばかり。

まず「抽象・具体の関係」についてだが、難しそうに思えるがそんなに難しくない。またこれは「言い換える力」なので非常に大切。

簡単な例1

大根、白菜、小松菜、つまり野菜。

野菜、たとえば大根、白菜、小松菜。

「野菜」が抽象で「大根、白菜、小松菜」が具体。

例2

秋に庭園に行きました。そこにはコスモスやリンドウやキンモクセイなど秋の花が咲いていました。

「秋の花」が抽象で「コスモスやリンドウやキンモクセイ」が具体。

例3

みなさんはくまモンを知っていますか。くまモンは熊本県のマスコットキャラクターです。

「くまモン」が抽象で「熊本県のマスコットキャラクター」が具体(言い換え)。

例4

僕と三人の友だちは、おにごっことかくれんぼをして遊びました。

この文から具体の「おにごっことかくれんぼ」を除くと、「僕と三人の友だちは遊びました。」というように、主語・述語だけが残り、文の要点になる。主語・述語も大切。

例1~例3を見て分かる通り、「抽象・具体の関係」は「言い換える力」のことである。

例1のように具体から抽象化する(まとめる)、抽象から具体化するという練習から入っていけばわかり易いだろう。そして、「言い換える力」の練習を繰り返しやっていく。ここに挙げた例は小学校の3・4年生でできる易しいものばかりであるが、小学生はこれぐらいのレベルから練習していくのがよい。とにかく最初は短い文章から入っていくこと。長文読解はずっとあとにやる。

筆者(作者)は読者にわかりやすく説明するために、具体例を出したり言い換えたりする。したがって「抽象・具体の関係」(言い換え)は文章中にしょっちゅう出てくる。だからこの関係を読み取ることができるように練習する必要がある。この読み取りができれば文章の内容理解は確かなものになり、論理的思考力につながる。

なお、入試問題では「言い換える力」を問う問題は大変多く出る。





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